大会3日目

the Fog

(シングルトーナメント)

 

 3日目の朝、カーテンから差し込む日差しはそれ以前の日よりもまぶしくない。それは自ずと感じることが出来た。外に顔をのぞかせれば、淡い霧がかかっている。東京住まいの自分には中々慣れない天候。少しこそばゆい、一方で陽の見えない空に対し日本人ならば不安を覚えることも想像に難くなかろう。

APEX2013 Brawl. results

大会結果 X シングルス:


1: Salem (せいれむ)

2: CT EMP Mew2King (M2K。髪はもはや世界共通ネタとなっていた。)

3: Otori (おおとりさん)

4: Nairo 

5: Anti

5: Mikeneko  (みけねこさん)

7: Mr. R  ( Ramin )

7: Dabuz

9: Dojo (Ally道場で鍛えてきた)

9: CT Zero (頑張れ。)

9: DEHF ( Larry )

9: 9B (9Bさん)

13: ESAM  (ひそかにファンでした)

13: Rain (Rainさん)

13: Ally (辞めるのかな…)

13: Vinnie (また日本来たいらしい)

17: ADHD (イケメン)

17: Suinoko (すいのこさん)

17: Zinoto

17: Havok  (さすがSRT参加者)

17: Pwii

17: Kakera (かけらさん)

17: Nakat  

17: Tyrant

25: Seibrik 

25: Bloodcross

25: Earth (あーすさん)

25: Shaky

25: Atomsk (彼女かわいかった。)

25: Denti

25: Leon

25: Nick Riddle

33: Koolaid 

33: Waymas

33: Vex

33: Abadango(あばだんごさん) 

33: Mike Haze (言動は格好良かった。)

33: Rich Brown

33: Fow

33: Tinman

33: Xzax

33: Razer

33: Bizkit

33: Lie 

33: Tearbear

33: MVD (太いフロリダ人のスネーク)

33: MJG (トゥーンの人)

33: Chudat


Smashboards :

http://www.smashboards.com/showthread.php?t=332658




 帰りの車、皆気迫が消えていた。朝の緊張感は完全に飛んでいた。それもそのはず。このAPEX2013の激戦を超えて、この帰り道を迎えているのだから。

 結局何故 Salem が優勝したのか。日本勢は、当たる相手が違ったらもっと上に行けただろうか。それは分からない。一つ、謂えることは、勝った奴が強いのである。日本のスマ勢に馴染み深い格言である。すると、ふと、大会初日、朝のESAM の言葉が頭をよぎった。


「謂うことは特にない。試合で語ろう。」


これに尽きるのだろう。



 書くタイミングを失っていた(校正しても入れる場所がなかった)が、今回はもう一つ、Rain さんが運営に抗議した件があった。内容は、Nairo 戦・M2K 戦に於ける、観客に対して口出しをさせるな、ということだった。

 これに関し、日本で「言い訳」という批判があったようだが、それはお門違いだと思う。いきさつは、以下。まず我々が注意されたところからである。APEX2013 では、対戦中に助言することを禁じている。よって、日本人が日本語で「いいよ〜」とか「まだいけるよ〜」とか謂っていたら、

「APEX スタッフでは日本人が何を謂っているのか把握出来ないから、試合中日本人同士は離れてくれ」

と指示された。ただし、声援はOKなので、「いいよ〜」は認められる範疇。「まだ崖つかまって」や「相手横スマ待ってるよ」とかはアウトということ。

 一方で、Rain さんと海外勢が戦うときは、つまり Nairo の時などは、周りにいたAnti や Vinnie は静かにしていたのだが、観衆が「後ろ回避駄目!」「シャトル気をつけて!」と散々言い放題だった。

 よって、この状況を注意したのだ。しかも試合後。勝敗結果は変えなくて良いが、これは不平等ではないか?と抗議した。私もそれは同意する。第一、他の大会では試合中に余裕で話し合っている USA で、なぜか今回「試合中に助言禁止」(試合間はOK)という新鮮なルールを加えたことが無謀だったと思うのだが、他にもたくさん日本勢は居るわけであるし、貴重な進言であったと思う。

 抗議をするとプレイヤー名も出るのに対し、日本にいて生放送を見ただけで会場の状況を判断し、この抗議を評価しないのは早とちりであると考える。

 また、Pioスマや今後の関東でも、ルールで変なことが起きないよう気をつけて行きたい。



 帰宅すると、日本勢は、次の日の飛行機に備え、徹夜することとした。一方で私は、眠すぎて、目が勝手に閉じてしまった。おやすみなさい。起きていたいけれど。少しでも長くアメリカを満喫したいけれど。おやすみ。


 スタンバイする日本勢はきびきびしていた。早くから起床し、昨日の深夜までの激戦は何処に行ったのか、シャワーに入り、9時までにしっかり準備を終えていた。各々、スマホを手に、ネットと向き合い、精神統一をしていたのであろう。

 私は、IE6 の車に乗せられ、会場へ連れて行って貰った。他のプレイヤーも同様、しっかり時間通りに会場入りしていた。NY から NJ, PA にかけて、これだけの数のプレイヤーがここに集結し、夜を越える。そして、朝にはまたNJの Rutgers Univ. Student Center に集結する。なんとも謂えぬ情景。

↑ 朝ご飯

照り焼きブリトー

↑ 「アライと愛」

 私の朝ご飯は、またもや会場地下の店の一角。ブリトーというものを頼んだ。しかし、Subway にはしかず、という感想。最終的に会場で過ごした3日の内、この1回を除いて全てSubway で済ませた。

 決勝を控えたプレイヤー達。フリーで練習している。テレビは60台あるが、それでも不充分である。プレイヤーがとにかく多い。制限を設けないのが APEX なのだが、それが逆にネックでもある。Xの本戦だけで128人。今日もどうせ時間通り進まないのだろうなあ、と思いながら、アナウンスが本戦開始を告げた。

 大会最終日、シングルスの本戦である。散ってしまった私にスマブラの出番はないが、この日は特に奔走した。翻訳以外にも、日本への質問もあったため。

 折角なので、ここは写真をメインに語っていこう。

 

← ZeRo vs Inui . Nairo や Kakera さんも映る

↓ Mikeneko vs Pikapika . 私のダブルスの仇を討って下さった

 

↓ Earth さん初戦。

 

↑Leon vs Kairo . 誠に残念ながらかいろさんの初戦がこれ。

← Rain さん初戦。

 

↑9B さん初戦。

← Vinnie 初戦。ヘッドホンをしている。Anti, Tyrant, mikeHaze も映る。

 

← 不戦勝の

Abadango さん

 

→ Mikenekoさん次戦。

↓ Otori vs MJG. Rain さんが日本国旗を持つ。

 

→続・Otori vs MJG .

全米一トゥーンもOtori さんに苦戦し、セコンドを頼る。

← ライターでWiiリモコンが動くことをココで初めて知った浅学なアユハ。

↓Abadango vs MVD.

↑Kakera vs mikeHaze

→ Kurobi さん2戦目。くろおびさんのセコンドを途中でサボるAlly。サボらないしみたけさん。

← 9B vs Rich Brown. 帽子にRICH BROWN と書いてある。

↓ ESAM vs Leon

← ZeRo vs Kakera


↓ Will vs Earth . Fuwa さんも。最強ドンキー Will は、海外では弱キャラのピットを使う:あーすさんに消された皮肉。

↑ Rain vs Dabuz.

Dabuz は大分敗北が気にくわなかったようで、握手を拒否。その後もRain さんを、自分のフリーにも近づけなかった。


↓続いて、9B vs ADHD. 個人的に、APEX2013 ベストゲーム。

↑ADHDを迎え撃つ準備をする9Bさん。テレビの上のブラッキーがキュート。

←ADHD(イケメン) vs 9B さん . 9B さんはAPEXマフラーを購入した。

↑ これがその動画。第3試合の、シングルクライマーからの快進撃が見物。英語ではシングルクライマーを “Sopo” と謂うので、聴く際の参考に。(solo と Popo を組み合わせた造語。)

←Abadango vs M2K. フリー?


↓Earth vs mikeHaze.

← Rain vs M2K .


Ally vs Mikeneko →

激戦。のちにみけねこさんは「お前が最強だと思ってる」と謂ったが、Allyは「じゃあなんで倒したの?」と訊いた。

「最強だからこそ、倒したかった」とみけねこさんは言い返した。

← 9B vs Anti

Anti の待ちに阻まれ、9B さんが惜しくも敗者側トーナメントへ。

DEHF, Hall, Ayuha →

昼飯にて。Hall は SRT でも出会った。今日はサングラスをしていない。なんと、サブウェイを買おうとしていたら、

クレジットカードを出してサッとおごってくれた!!アメリカン神!

Hall, Havok や DEHFは West Coast の仲間。

← ZeRo vs Mikeneko .

後ろに Suinoko さん、小さくKurobi さんが。

Vinnie vs Otori →

LB8くらいの、大詰め。試合前、Vinnie が

「この試合、勝った方が優勝するんだぞ?」

とOtori さんに声をかけた。こういう会話を仲介してしまう恥ずかしい役も通訳の仕事。

← M2K vs DEHF

ファルコでメタナイトをボコボコにして欲しかったが、M2K に軍配が上がる。


ZeRo や M2K が着ているシャツが、彼等のスポンサー CLASHTOURNAMENTS のもの。

↑ マルス使いの集合写真。

ピアス、お前もマルスだったのか。ちなみにふわさんは寝てた。Leon もいない。

Facebook を漁ると、Leon とふわさんを合成した写真も出てくるぞ。

Otori vs 9B →

無情にも当たってしまった日本同士の戦い。Otori さんが勝利し、LB で上へ駒を進める。この時点で、残ったのはWB の Mikeneko さんと Otori さんのみ。

↑ふと撮られた集合写真。

Shimitake, Otori, ESAM, Kakera, Kurobi, Abadango, Kairo, Mikeneko, 9B, Suinoko, Nairo (敬称略)

など。私は所詮カメラマンか…


オリマー使い集合写真 →

Dabuz が笛を吹いており、残りは上スマをしている。

 というわけで、写真で流してきたが、APEX2013 の本戦はだいぶ進んだ。上述の通り、残ったのはWB のMikenekoさんと、LB のOtori さん。

様々な選手が様々な相手に敗れ、夢・祖国・情熱を背負ったプレイヤーも、善戦空しくいつかは敗れることとなる。APEX2012 、Ally vs Nietonoさんで実況が述べていたように、

「どんなに強くとも、負けたプレイヤーが勝った側へ道を譲ることが、トーナメントの美徳」

なのであろう。

 これで、Top 8 が出揃い、ここからは配信は正面のスクリーンでなされることとなった。ただ、DX の試合が終わるまでは出来ないので、選手達はひたすら待った。この間の時間を、トーナメントの凪を、残ったプレイヤーも、既に負けきったプレイヤーも、ゆったり楽しんでいた。

↓元気なアユハとAlly

← 疲れて果てそうな日本勢と、元気な海外勢。

↓疲れて果てた日本勢。

 そして、ようやく時が来る。

 スクリーンが空いた。DXの優勝は、Armada であった。スウェーデンの戦士。まさかの、連覇。APEX 史上初である。ただ、後日、Armada はスマブラを引退することを表明した。私は彼の、最後の勇姿を目に焼き付けた。

 そして、X の出番である。まずは、Mikeneko vs Salem がセットされた。

Mikeneko さんと、セコンド Rain さん。

Salem と、セコンド Vex →


ここで通訳をして知ったのだが、Salem が喋らない…。何かを尋ねても Vex が回答する。

ステージ選択も、ポートも、Salem はこだわらなかった。ここで、不思議なプレイヤー Salem と、私は初めて接した。

Salem が接戦を制して勝利。みけねこさん本当に惜しかった。

← 盛り上がる観客。ZeRo や Nekokatsu.


↓そして、また当たった日本同士。

Otori さん vs Mikeneko さんがスクリーンに映し出される。ここが LB10 。何回戦まであるのか…

続いて、勝ち上がった Otori さんがぶつかったNairo . ここが LSF.

昨年のWF 以来。セコンドは9Bさん。


2枚目の写真は、Nairo を下して凱旋する様子。

← WF . Salem vs M2K.

これもSalem の勝利。GF へ駒を進める。ここで会場がそろそろどよどよし始める。

Salem というプレイヤーが少々ダークホースだからか、彼の持ちキャラゼロスーツサムスがマイナーだからか。

LF. Otori vs M2K →

セコンドにはダブルスペアの Abadango さん。相手のセコンドは ZeRo . 日本と因縁深い相手。

 丁度この試合の前。WF で、Salem vs M2K をしているときの事であった。みけねこさんが Ally と話していたので、私もそこにいた。すると、その試合を見ながら、Ally が謂っていた。

“Okay, if Salem wins, I will quit Brawl. I promise. ”

(いいか、Salem が優勝したら、俺はスマブラXを辞める。約束する。)


なぜ?と聞き返したが、「こんな弱キャラが、こんなノーマークで勝つなんておかしい。普段はこれだけメタナイトがはやし立てられていて、散々対策をしてきたのに、結局ダークホースが勝つゲームなんて、辞めるんだ。」などと答えた。

 私はそのまま、共にAlly 達とWF, LF と見守っていた。たまに、ステージに登って通訳をした。


 そして、LF は最終戦、タイムアップで M2K の勝利となった。

 ステージはハルバードで、タイムアップで逃げ勝ちは M2K の十八番だった。悔しい一番だったが、メタミラーらしい勝負であった。私には Otori さんを見守ることしかできなかったが、意見は各自、試合を見てから、しっかり持って欲しい。

 ただ負けたという、結果だけからは判断して欲しくはない。昨年GFを日本勢が占め、世界が日本を意識して1年を過ごし、このAPEXを迎え、この逆境の会場で戦い、数々の敵を討ち、時には日本勢も倒し、ココまで昇った思いを忘れて欲しくはない。海外勢は2012年、日本にも足を運び、死闘を繰り広げた。彼等の大会では、放送席からは散々日本プレイヤーの名前が発せられた。日本の動画も・生放送も脚光を浴びた。その、海外の思いが、日本にぶつかってきたのがこの大会なのだ。会場にいて、実際に戦うプレイヤーを、観客を見なければ、何があったのか堂々と語るには不足していると思う。

 だからこそ、APEX はどんなプレイヤーにも行く価値があると言い切れる。

 

 そして、運命のGF (決勝) ... (朝3時半)

← 優勝の瞬間

↓胴上げ

 優勝したのは、Salem であった。M2K は、2010に続き、目前で玉座を逃した。そしてゼロスーツサムスの優勝。そして、またもダークホースの優勝。Salem は前日の団体戦のメンバーにも入っていない。

 勝利に沸くプレイヤーは多かった。なぜなら、Salem は東海岸のプレイヤー。USA, というか主催者の悲願であった、東海岸の優勝を遂に達成したからである。APEX が2009に始まり、ようやくのことである。

← 優勝インタビュー。

Salem のタグは “4Vex”, つまり “for Vex”(Vexのために)。ふたりはどういう関係かは知らないが、ただならぬ関係には違いない。

 そして今回、私の目に顕著に映ったのは、M2K である。DXでもシングル3位・ダブルス優勝、Xダブルスで準優勝、他ゲーでも入賞というめざましい結果が問題なのではない。

 彼の正式名は、今や CT EMP Mew2King (本名ジェイソン・ジマ—マン、シナモンソン出身)。二つのスポンサーを背負うプレイヤーである。其の所為か、少し大人になっていた。LF では、ZeRo のみならず、雇い主:Chibo まで舞台上に駆けつけ、彼の背中を押した。試合によっては、彼の名をコールすることもあった。今までではあり得ない現象であった。

↑決勝後、M2K にも寄ってくるプレイヤー達

 プレイヤーは移りゆく。仏教の無常観は、武家モノに好まれて日本で流布した。祇園精舎の鐘の声、といえば、日本人ならば誰でも知って要るであろう。栄枯盛衰の必定は、APEX での上位勢の入れ替わりを指し、新勢力の浮上を意味する。しかし、プレイヤー自体の人間性の変化も、諸行無常の一環なのでは?と実感できた出来事だった。


 また、この日も、通訳として佳境を迎えた戦いがあった。スクリーン配信台、Dabuz vs Otori 戦である。

 Dabuz がデフリッカーをオフに。おおとりさんはオンに。ここでまさか揉めた。会場スタッフを呼び、自分自身も、印刷してきたAPEXルールを見直した。しかし、書いていなかった。スタッフは、Alex Strife (主催者)を呼んだ。そして、どうすれば良いのか口論になった。

おおとりさんは、オンにしないと目が疲れる、ということを Alex Strife にも伝えた。

(※:海外勢は、日本勢の目薬というモノを見てびっくりしていた)

ただ、Dabuz がだだをこねるので、もう私がしゃしゃり出た。

「1本目はコイントスで決めましょう。ただ、2本目以降は敗者が決めましょう」

と提案した。実はおおとりさんに無断だった。しかし、それで大会スタッフが納得したので、これで決定となった。そこでおおとりさんに、こういうルールに決まった、と伝えた。

 大会2日目の日記にも書いたが、通訳にはいざというときの対処が必要である。結果的に、またもや自分の賭けが当たり、おおとりさんは勝って下さった。よって結果オーライだから偉そうな事を謂えたのかも知れないが、


 実は無茶なことをしていたので済みませんでした。。。。

 今回のマルス使いについて、小話を。みけねこさんは、mikeHaze に「自分はお前の動画を見て強くなった。自分ははじめ、お前のスタイルを真似て来た」と謂いに行った。するとmikeHaze は握手し、「今では俺がお前の動画を見ているよ!」と伝えた。

 そして、確か、ZeRo vs Mikeneko 戦。1戦目を終えて、リードされたみけねこさんに、mikeHaze が駆け寄ってきた。「行ける。しかし、自信を持たなきゃ駄目だ。引きすぎて弱気になってはいけない。」と助言をしてくれた。

 mikeHaze はでかかった。これがUSAのスポーツマンシップなのだな。

 話は、もとに帰る。

 大会は終わった。優勝インタビューが終わり、会場は四散した。自分に残っていたのは、以外な感情。空虚。皆が一斉に、帰り始める。決勝が終わり、明るくなった会場。思い出や、経験、様々なものが積もった筈なのに、なぜか、体が重くて、何も言えなくなる。

 そこに AscWolf が別れを謂いに来た。ドイツのウルフであり、SRTでは quiKsilver と共に我が家に泊まっていた。また会おう。謂えることはほぼそれだけ。だが、スマブラーならば分かるであろう。それ以上に言葉は必要ない。

 ZeRo は挨拶で忙しそうだった。色んなプレイヤーと抱き合っていた。Vinnie, Alex Strife などのApex スタッフも、様々な人間に声をかけていくのに必死そうだった。

 フロリダ勢(ESAM, Goof, MVD など)は、

「日本人!飲みに行こうぜ!」

と謂っていた。

「いや、日本勢は未成年いるんですよ!」

と言い返した。それだけでなく、純粋に日本勢は疲れていたので無理だった。が、そいつ等は

「かんけいな〜い!」「じゃあお前等だけでも」

とか謂っていた。勿論飲みに行っていない。日本勢が全員虚ろな目をして、意識が浮ついているほど疲弊していたのに、このフロリダの元気はどこから来るのだろうか。


 自分には何が足りなかったのか。戦績とかの問題ではなく、何が足りなかったから、大会後の自分はこうも疲れているのだろう。こいつ等は、大会の最後まで・大会後までエネルギーが沸いてくるのだろう。

 そして、Krista が最後の迎えに来た。相変わらず日本勢13人の送り迎えは大変である。今夜も3往復である。私は最後の1群。

↑全てが終わった後の会場、廊下

 Krista の車に乗ろうと、駐車場を横切っていた。まだ霧が出ている。昨日から出ていた霧が、まだ晴れていなかったのだろう。黒い、丑三つ時の景色を、淡い白いレイヤーが覆っている。その中を、黄色い街灯が不規則に並んでいる。これが大学の景色か。自分の所とは大違いだ。

 すると、高くてテンションも高い声が聞こえた。Keitaro の声だ。彼も駐車場で車に乗るところだった。こいつともお別れかと思うと、かなり、寂しい。以前から動画で見ていたし、こいつ主催の SKTAR は明け方まで生放送を見ていた。こちらに着いたときは電話で助けて貰ったし、ダブルスの登録も急遽受け付けて貰えたのは Keitaro のお陰だ。

 別れを済ませ、私は Krista の車に乗ろうとした。だがその時、どうしても訊かねばならない質問を思い出し、駐車場を走ってまたあいつの所に戻り、叫んだ。

“Keitaro, I have one last question !”

するとKeitaro は反応してくれた。

“What ?”

“Why are you Keitaro ?”

…お前は何故、「けいたろー」なのか、と尋ねたのだ。すると、答えは一言だった。


“Love Hina”


まさかの答えにたじろいだ。『ラブひな』だった。赤松健さんの、東大受験作品の主人公、浦島景太郎が由来だったのだ。我が家にも全巻ある。

 どう答えればいいのか、すこし考えたが、

“I go to the same university.”

と謂った。Keitaro も驚き、抱き合った。なぜここで抱き合う、という行為に至るのか、日本人には分からないが、ともかく従った。

 そういえばいつになっても、USAに住む黒人のボディタッチには慣れない。

↑Keitaro と Ayuha

霧の駐車場、朝3時半

↑FOW

 
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