Part 1 :
出発日
“The Winter’s Tale”
(この旅日記は、はスマブラ世界大会:Apex2015に参戦した者達の足跡を記したものです)
ニューヨーク「史上最強の寒波」…我々遠征者が飛行機に乗る前日、このようなニュースがFacebookで踊った。フライト予定は28日。一方で、27日のニューヨーク着の便は全てキャンセルされるという有様だった。
後に日記を読む人がいたら、と慮り、今の情勢を記しておく。この頃世間はエボラ熱・ISISのニュースで世界が持ちきりであり、賢明な日本人さまさまとあらば、渡航なんぞ愚行としか形容しないであろう。現に、ニューヨーク入りする際は空港では「特定の国にN週間以内に立ち寄った者はこちらへ一旦来なさい」といったアナウンスが有り、設置されているテレビではISISの最新情報がひたすら語られていた。
それに加えての吹雪。もはや天がスマブラ日本勢をApexから拒んでいるとしか思えなかった。しかし天が壁をつくり・病が地をかけずり回り・人が人を脅かそうとも、スマブラのコントローラを握る者は得るべき標的があり、天を衝く寒さにも逆らって会場を目指すのであった。
↑家を出て空港へ向かう
↑おなじみ、京成上野駅の朝
史上最強の寒波は、聞いて呆れる結果に終わった。どうも不発だったようなので、28日の飛行機は全て予定通り運航する、とのこと。我々日本勢は全員予定通り成田空港へ向かうこととなった。前日は私の家で Nietonoさん・Chocoさん・Tenuheさん(とYONさん)が来て、スマブラしたり Cat and Chocolate をしたりして、朝を迎えた。いつもどおり、京成上野駅を経由して、成田空港へ。
↑DetonatioNのLGraNさんから、
ユニフォームを受け取るNietonoさん
空港では、なんとDetonatioNの社長:LGraNさんが登場し、Nietonoさんに新ユニフォームをお渡しした。シャツ+ウィンドブレイカーである。新ユニフォームというのも、DtNさんはスポンサーが増えたからで、うれしいニュースがいっぱいであることだなあ。
そんなこんなで、DAMUさん・Abadangoさんとも合流し、6人で飛行機に乗った。(DX勢・Shimitakeさんとは後で合流する予定。)
【Apex2015 参加日本勢】
- DtN | にえとの さん/Nietono (WiiU)
- ちょこ さん/Choco (WiiU)
- あばだんご さん/Abadango (WiiU, DX)
- DAMU さん (WiiU)
- てぬへ さん/Tenuhe (WiiU)
- しみたけ さん/Shimitake (WiiU, X)
-VGBC | aMSa さん (WiiU, DX)
-疾風さん/Shippu (DX)
-こうのとり さん/Kounotori (DX)
-蒼天 さん/So-ten (DX)
-ソバメシ さん/Sobameshi (DX)
-LOKI さん (DX)
-Shunsuke さん (DX)
-...筆者 Ayuha (WiiU)
Part0 でも述べたとおり、2014年はスマブラ業界が大いに盛り上がった年であった。更に、Apex2015はスポンサーに twitch, Nintendo という巨塔を携え、この上ないコンディションで大会を迎えようとしていた。「スマブラ」というビッグタイトルの世界大会に相応しい、強大な軍容である。
(ここの詳細に関しては筆者が以前記した記事をご覧ください:https://game8.jp/matome/17964 )
しかし、異変が起きた。大会をあと1週間に控え、主催者が問題を提唱され交代となった。不信任案が通った、といった体である。更にこれに関連して、CLASH Tournaments がApexから外される処分となった。CLASH Tournaments(以下CT)は、配信クルー&会社であり、今年も大会の配信を手がける予定であったし、Apex2014ではCT所属のプレイヤー達は、合計獲得賞金がチームとしてはトップとなった。
Apexを長らく運営してきた主催者・および業界を牽引してきたクルーが席を空けた、というニュースは、プレイヤー達に少なからず動揺を与えた。
それにあいまって、上述の「史上最強の寒波」である。日本勢はひたすら「Apex…行けるの…?」という疑問・不安をtwitterで漏らし続けていた。
出発日
またまた今年も、 摩天楼にバキュン!
まずは無事、戦地アメリカに降り立つことが出来た。現地に着くまでだけで、これだけ気を揉むことは無かった。でもひとまず、入国できればこっちのもんである。空港の自動ドアをくぐった先、吐いた息は白くなり、東京人には凍てつく寒さが頬を襲うが、雪は降っていない。スーツケースを曳きながら、硬い空気を切り裂き歩く。嘗て無く冷たいApex旅行へ、花道をのぼり始めた。
Apex2015 直前
↑飛行機の窓から見える
凍った湖・雪景色
↑JFK空港
到着出口
今回のApex会場は、例年とは異なる。むしろ、New York 市街に近くなったため、行きやすくなった。そのルートをここに記しておく。
JFK Airport
↓
Air Train(20分)に乗る
↓
Jamaica Station
↓
LIRR(20分)に乗る
↓
Penn Station New York
↓
NJ Transit(20分)に乗る
↓
Secaucus Junction
以上。空港から1時間で、駅に着くことが出来る。
↑Jamaica Station で
LIRRに乗り換え
↑LIRRのホーム。
これで1駅乗れば、Penn Station NY。
Penn Station NY には11時ほどに着いた。ここまでは例年と同じルートである。アメリカの駅というのは、日本よりもエスカレータなどが発達しておらず、大きな荷物を持つ者にとってやさしくない作りになっている。というわけで疲れた腕を癒やすため、Pizza Hut に立ち寄り、昼飯にピザを頼んだ。飲み物が相変わらずでかい。右上の写真でちょこさんが持っているコップは、Sサイズである。
↑今年の
Penn Station NY
↑Penn Station NY の
Pizza Hutにて。
↑Secaucus Junction、
駅の中央にたたずむオブジェ。
↑Secaucus Junction、
屋外のバス停。
そのまま慣れた列車:NJ Transit に乗り、一駅で Secaucus Junction へ。Junction というのは「分岐駅」と訳され(英辞郎web)、鉄道・バス等が入り組む駅を指す(東京だと様々な駅がそれに相当する気がする)。電車の旅は結構短く終わったものの、ここからもちょっと大変である。
バスに乗り換えねばならない。現地の気まぐれな間隔のバスの内、正しいものに乗り付けねば。再び屋外に出て、雪混じるコンクリの歩道をゆく。寒い気候独特の、鈍い色の空が溶々と広がっている。自信もないまま、とりあえずバス停と思しき場所で、待つ。
行き先の違うバスは見送って、暫くしたら正しい路線 “129” が来たので、運転手にじっくり確認を取ってから、日本勢はバスに乗った。
↑Meadowlands
バスを降りる。
↑出迎えるカモメ。
Meadowlandsなんとかが目的地なのだが、このバス路線はなんと3つくらい “Meadowlands” の着くバス停があり、すごく紛らわしかった。運転手と再びじっくり確認を取りながら、我々は正しいバス停で降りた。
到着したバス停。解けた雪で濡れた歩道は、歩くたびにドロの飛沫をあげるし、横断歩道周辺は除雪が済んでおらず、やはり私には歩きづらかった。そこに、カモメの群れが飛来し、こちらを出迎えてくれた。雪景色の中、黒い晴天がみるみる白いカモメで埋められたのは鮮烈だった。このエリアは、Cedar Creek(シダー川)とHudson River(ハドソン川)に囲まれているため、こういう海鳥がいるようである。
↑Clarion Hotel Empire Meadowlands
(目的地のホテル)
↑部屋。
そしてバス停から歩くこと数分。ついにホテルが姿を見せた。Clarion Hotel Empire Meadowlands という名称だが、Clarion Hotel と一般的に呼ぶ。巨大な駐車場を持ち、客室棟とは別戸建てで大きな Ball Roomもあり、旅団の胸は高鳴った。これは期待できそうな会場である。Apexは、このホテル内で行われる予定である。
ようやく暖を取ろうと、我々6人は早足で運び、ホテルロビーに突入した。WiiU勢は計7人で泊まるため、4人部屋を2つ予約してある。その部屋を隣同士で取り、間をつなぐ扉を開けて、2部屋を1部屋に連結した。
こうして、日本WiiU勢はこの Clarion Hotel に到着したのである。 早速持参したWiiU2台をテレビに付け、何事もなかったかのようにスマブラを始めた。
現地の大会へ...
我々の到着から2時間後。17時くらい。Keitaro が、日本勢を車で迎えに来た。この日にある “Smash 4 Ever 10” という地元の大会に、日本勢を出場させるためである。主催は RJ と Keitaro である。アメリカに着いたその日に大会出るのかよ、というのはごもっともな意見だが、割りとエネルギーは余っていたため、6人全員大会へ向かった。
同じ車に、Mr.Rが乗っていた。Keitaro の運転に揺られること30分くらい。どう見ても消防署に着いた。本当にここで行われるようである。
↑Smash 4 Ever 会場。
歩く日本勢。
↑フリー。
Abadango vs Dabuz
↑会話。
Mr.R と Dabuz
↑配信台試合。
Choco vs Dabuz
↑敗者側決勝。
NAKAT vs DtN|Nietono,
と Abadango さん。
この大会は、地元勢+先にApex会場に着いた人による、前哨戦となっていた。そのため、先ほど述べた Keitaro, Mr.R 以外にも様々なプレイヤーと再会した。Nairo, Vinnie, Chibo, Dabuz, Gunblade などである。また、Yink (2013年にChiboと一緒に日本に来ていた女性) とも再会した。ロックマン使いだった。
Mr.Rは、オランダ勢だが、LowLandLions というゲーミングチームに今年から所属していた(Low Land とは、オランダを指す言葉である)。ヨーロッパも、e-sports がスマブラに目を向け始めたのだなあと実感できる一事象である。WiiU版になったこともあってか、この1年で皆変わったんだなあ、と思えた。
Mr.Rはこの日ベスト6という結果だったが、同じくベスト6には Abadango さんがいた。Apex直前なので、正キャラのパックマンを見せずに、ワリオで戦っていた。
最終決戦は、日本の DtN|Nietono さんに対し、Apex2014優勝者 Nairo となった。Apex2012では勝者側?回戦・敗者側決勝で当たっているという対戦経歴もある。
動画でもお分かりの通り、会場の後ろにトロフィーが並んでいる。これは、消防署だからである。スマブラ関連ではない。
私は途中、イスで寝てしまった。他の日本勢も、大会で疲れて寝てしまう人がいた。余裕はあると思っていても、なんだかんだでスマブラは疲れる。
(大会結果↓)
36人のトーナメントで、私自身はMr.RとVinnieに敗れてベスト16だった。双方シーク使いであった。しかし途中当たった相手で思ったのだが、アメリカのプレイヤーはとても攻撃的なので、ディディーの空前・ガード掴みが当たり易い。アメリカでは非常にディディーが嫌われており、ペイガン差別かと言わんばかりの顰蹙を買っていた。が、これは攻撃的な立ち回りの風土が関係しているのではないか。(筆者は古来よりのディディー使いである。)
というわけで、日本勢はアメリカの洗礼を受けて、帰宅した。主催のKeitaroが大会後も車で我々を送ってくれた。なんて体力なのだろうか…。
帰ってからNietonoさん達は、ピットの確認をしていた。色々知らなかったため、Apex本番に向けて、Nairoの使うマイナーキャラ対策をしっかり積んでいた。
↑最終決戦の動画
↑DX勢。
手前が Kounotori vs Sobameshi.
奥が LOKI vs So-ten.
DX勢も既に夕方には到着しており、練習をしていた。WiiU勢には分からないかも知れないが、DX勢はこのようにWiiでDXを起動し、Wiiに独自のディスプレイをくっつけて、独立セットアップとしてDXを持ち歩いている。
また、DX勢はこの近くの Subway も既に確認していた。これから始まるApexに於いて、近くにご飯を確保できる場所があるかはとても大きな要素となってくる。特に、今回は大会中に吹雪が来て、出前などが頼りにならない可能性もあるため。WiiU勢が勝手に対戦をしている間に、生命線を確保して下さり、ありがたい限りである。
とりあえず、この日得られたのは安心感、そしてアメリカでの対戦経験。Apex本番に向けて、着実にステップアップしていた。結構長かったかもしれないが、これが1日である。ようやく1月28日に別れを告げて、WiiU組は比較的早めに寝た。
おやすみなさい、また明日。