Part 4 :

大会二日目

“The Tempest”

 

↑朝。

TenuheさんはWiiUでツイッターをしている。

↑10階エレベータ前。

ZeRoのシャツには「I Love 人類」とある。

 何の目覚ましもかけることなく、日本勢は自ずと目を覚ました。車もあまり通らない道路、人のいないホテル。実に静かな朝である。まだあまり陽も昇っていなかった。窓の外は、まだ雪景色であった。気温は氷点下だし、雪はそれは解けない。

 朝起きたら、部屋の電気をつける。朝が暗いからやむを得ない。朝6時半くらいから、ZeRoはこっちの部屋に乱入してきた。「いや目が覚めちゃって」とか言っていたが、実際は興奮して眠れなかったのかもしれない。色々あるだろう。

 朝7:20。日本勢は意気揚々とロビーへ向かった。新会場へのシャトルバス(無料)は8:00出発である。試合の開始は9:00。このバスに乗れねば遅刻で試合終了である。万全を期して、我々は40分前にロビーに至ったのである。アメリカ勢は遅刻気味。そういう性質も踏まえて、我々はバスに乗れる確信があった。

↑朝7:20。

ロビーは満員…

↑新会場に到着。

 ロビーでエレベータは開き、足を踏み出すと、そこには戦慄の光景が広がっていた。ホテルの出入口が、人間でいっぱいなのである。並んでいるプレイヤーは何人に及ぶか分からない。バスの収容人数は50人と言っていたが、それはゆうに越えていた。

 写真左上では、並んでいる人物が全員コートを着ていることが見えるであろう。たまに開いたりする扉から、氷点下の外気が雪崩れ込んで来るのだ。ここで40分待とうとした自分たちに半ば自惚れていたが、アメリカ勢が更にその上を行っていた。こいつらは既にこれだけ並んでいたのだ。Allyが列にいた。

「こればかりは誰も譲らないよ。」

と言っていた。

 「終わった…」

この瞬間、全日本勢に “遅刻” の2文字がよぎった。情報戦が弱くてホテル引っ越しが出来なかったことに加えて、バスまで取れなかったことは、私が処理を出来なかったことは責任を感じる。しかしこの瞬間、タクシー業者が来て、会場まで一人$20で乗せるというオファーが来た。$20払う、というのは申し訳なかったが、他の皆さんは快く納得してくれて、日本勢はタクシー2台に乗って会場へ走った。

↑朝7:20。

ロビーは満員…

 タクシーは高速道路を爆走し、新会場:Garden State Exhibition Center へ辿り着いた。時刻は未だ8:30。試合時間には余裕で間に合った。ここで我々は初めて会場を見た。2000人のエントリーが一箇所に試合することを可能とする巨大なホール。そこに大量の机と、ブラウン管・モニタが並んでいる。まだ朝の空気で少し冷えているが、どうせこの後数千人の熱気で苦しくなることは分かっていた。

 まだ試合が始まらないので、日本勢はフリーを始めた。しかし今回のApexは、2日間で全日程を行うという強行スケジュールのため、試合が始まったら一切のフリーが禁じられている。フリーをしているところを発見されたら全種目から除外される、と注意されるくらいの意気込みであった。

  朝9時から始まるのは、WiiUダブルスである。私はこの試合前の隙に、会えるだけの人に会っておいた。特にMIOMのTophさんは、今年は実況者なので、ここで掴まえられたのは幸運だった。また、私のアイドルマスターシンデレラガールズのシャツを見て、Dabuzが話しかけてきた。なぜか、凄く声が枯れていた。

↑スタッフの

D.Discipleと

↑Tophさん。

今年のメイン実況。

↑フリーにて。

日本勢はスピーカーを持ってきている。

↑Dabuzと。

 写真にも映っているが、日本勢はスピーカーを持参している。これは普段の大会:ウメブラにて、液晶モニタの音量が小さいことを知っていたからである。しかもApexはASUSのモニタを使うという情報をキャッチしていたので、スピーカーをしっかり持ってきていた。他の海外勢はこの現実を把握していなかったようで “You guys are smart” と言われた。なにせ、会場がうるさいので、ゲーム音は一切聞こえない。スピーカー無しではやっていられない。

 そしてようやく9時をまわり、ダブルスの試合が呼ばれ始めた。全員一斉のスタートである。Nietono & Choco, Shimitake & Tenuhe, Abadango & aMSa というペアがまず出番である。

↑予選勝者側決勝

Nietono&Choco

vs Wizzrobe&Plup

↑Shimitake&Tenuhe

↑試合を残してしまった

aMSa&Abadango

↑昼ごはん。

Sサイズの飲み物。

 今回は、シングルスもダブルスも、予選がダブルエリミネーション方式である。ここで敗者側に行けば、本戦でも敗者側スタートとなる (ダブルエリミネーション方式 : https://game8.jp/matome/17928) 。突破できるのは各ブロック2チームずつ。勝者側優勝の1チームと、敗者側優勝の1チームである。

 Nietono&Choco というチームは、一足先に全チームを蹴散らし、予選突破を決めた。Shimitake&Tehune チームは、敗者側で Mr.E&belaC (Mr.E は元Mr.Eric) のチームに敗れてしまい、ベスト32進出を惜しくも逃した。しかし、aMSa&Abadangoチームは、試合が11時を過ぎてしまい、ここで一旦打ち切られてしまった。あと1試合か2試合かを残して、シングルス予選が開始する。ダブルスの残りは、18時以降という運営からのご判断であった。今回は2日間の強行スケジュールのため、しょうがない。


 そして、WiiUシングルスが始まる。DXシングルスもである。その間、まずは手の空いた日本勢は会場で昼ごはんを食べた。急におさえた会場なのに、しっかり屋台が立っているところが凄い。ハンバーガーやホットドッグ、そして巨大なSサイズコーラを飲むと、大体空腹は満たされた。

 

↑Tenuhe vs Jake

↑スタッフの

Jake Simoni

(会場外での1枚)

 シングルスも同じく、勝者側優勝・敗者側優勝の2名しか上へ行けないルールである。

 昼ごはんの間、Tenuheさんのシングルスは始まっていた。流石に緊張感が会場全体に漂う。このシングルス予選、2回負けたらそこで終了であるから。しかもダブルスからシングルスへの無慈悲な本格高速シフト。今回ばかりはスケジュール進行に本気である。

 左上の写真は、TenuheさんがJakeと対戦する試合であるが、このJakeはApexスタッフで、2010年に遠征した日本勢とは喋ったらしい。後にJakeに訊ねられた。

「Papepia はまだプレイしてるの?」

と。パペピアさんの名前をニュージャージーの雪の中で聴くことになるとは思っていなかったが、本人に続きを訊くと、

「いや、2010年に来たRainやSuinokoが、俺のことをPapepiaに似てるってめっちゃ言ってたから。」

だそうだ。なんとなく、似ている気がした。(ちなみに私はこのパペピアさんと組んで、2014年11月のニコニコ公式2on2に出場した。)

 結局、TenuheさんはJakeほかブロック全員を蹂躙して、全勝で勝者側予選突破した。

会場へ向かう

WiiUダブルス予選

WiiUシングルス予選

↑Abadangoさん

予選

↑Nietonoさん

予選

↑Warchamp7と

日本勢

 その後、AbadangoさんNietonoさんと、次々と予選ブロックが消化されて行った。AbadangoさんはPlayer-1というXよりのディディー使いがブロックにいたが、しっかり下して行った。Nietonoさんは、CT SalemというApex2013王者が同じブロックに居るという運命を突き付けられていたが、いざ幕が開くとSalemが遅刻により初戦敗北となってしまった。Salemは敗者側にまわった。Nietonoさんはそのまま勝者側で予選を終えた。つまりSalemとは当たらなかった。ついでに、写真にあるWarchamp7と写真を撮った。単純にNietonoさんと予選ブロックが一緒だっただけなのだが、Smashboards の管理人である。

 同じ頃、Dabuzも遅刻で初戦を落としたという話を聴いた。しかも噂では、風で声が枯れていたから返事が出来なかったとか言うではないか。確かに、朝デレマスの話をした時は完全に声が枯れていたし…。Smashwiki によると、DX部門では遅刻により1000人中200人が遅刻で初戦を落としたそうだ。WiiU部門はどうかは分からないが、今回は大会初日がキャンセルされたため、通常の大会よりも遅刻にかなり厳しい処置を施していた。日本勢が誰も遅刻で敗退するような悲劇が起こらなかったことは、なによりの幸いである。日本勢にいつも気を配ってくれたOriやYinkに感謝である。

↑配信台待機席。

Sobameshiさん、対戦相手と、

マッサージマン。

↑配信台に座る

Sobameshiさん。

↑今年も会場に

販売ブースが出ている。

↑Xに出場する

Shimitakeさん。

 安心して会場をふらついていると、DXの方で、Sobameshiさんが予選突破(DXでは予選突破はBest48)を懸けて配信台に待機していた。ここで目にしたのは意外な光景。左上写真をごらんいただきたい。まず対戦相手のキャラが濃いのはさておき、そこにプロのマッサージマンがいるのだ。今回のApexでは、配信台を担当するVGBCが、対戦前のプレイヤーに手のマッサージをするサービスを手配していた。マッサージャーは、髪が長くて神通力をつかってそうな表情をしていたが、腕は確かでプレイヤーからは好評だった。ZeRoは長らくマッサージを受けていた。このマッサージマンも、プレイヤーをやっているらしい。

 私は更に会場をふらついた。会場では、今年もグッズ販売ブースが出ていた。年々この店の数は増えている。日本だと、同人即売会イベントは確固たるものが確立してはいるが、しかるべき所から認可が降りるのであれば、大会でも販売をするのはアリかもしれない。特に関東では、なまーたさんや綾鷹さんやMOWさんなど、出場するプレイヤーが名札の絵を描いているので、界隈にその潜在力はあるはずである。

 そして、たまたまXに出場しているShimitakeさんを捉えた。スマブラXに出場している日本プレイヤーはShimitakeさんだけである。X部門は、業界が最盛期を過ぎたとはいえ、NairoやNAKATがエントリーしており、一筋縄ではいかない関門になっている。

 WiiU勢の私は自分の視点からしかApexを見られないが、DX・X・そして64や他ゲーも、プレイヤー達の各々の戦いがあるのだ。

↑青い帽子の DJ Arcatek,

そしてAlly。

↑Vayseth,Tenuheさん,

そしてAyuha

 そして気が付くと、午後3時。自分の予選時間になっていた。人の群れをくぐり抜けて、せっせと自分のテーブルに足を運んだ。私のブロックには、Ally がいる。今年から Boreal というカナダのe-sportsチームに所属している。Allyにスポンサーにつくとは、審美眼のあるチームだと言わざるを得ない。

 ただ問題なのは、私のブロックにAllyがいるため、2人しか抜けられないこのブロック、私は苦戦を強いられるということである。実績を見れば私はApex旅団で最弱なので、天は随分な采配をふるったなあと嘆くばかりである。

 そして初戦。左上の写真にうつるDJ Arcatekと当たった。フロリダのマリオ使いである。で、ここで負けてしまう。これは正直、やばいと思った。そこから無心になり、ディディーをひたすら機械的に操り、敗者側を駆け上がった。そして敗者側決勝。相手は、勝者側決勝でAllyに敗れたDJ Arcatekであった。1戦目はかなり危うかったが、こちらが140%くらいで、相手のマリオは下投げ→空上を喰らって80%くらいであったが、バーストした。2戦目はそのままの勢いで空前をグサグサ刺し、最後はダブルラリアット(横スマ)でフィニッシュした。勝者側での仇を敗者側で討ち、予選突破。終わった瞬間、安堵で声が漏れた。

 追伸。今回の予選では Vayseth という人物と当たった。右上写真の黄色い服の人物である。驚いたのが、試合前に日本語:関西弁で話しかけられた。元々何年も前に関西にいて、プレイヤーをしていたらしい。外国人なので、関西の皆さんは覚えてらっしゃるだろうか?(当時はロガンという名前だったらしい。)

「もしかしたら今年も日本に来るかも」

と言っていた。日本語で。

↑aMSaさんの予選。

真ん中に小さく映っている。

↑Shimitakeさんの予選。

 私と同時刻に、DAMUさんの予選もあった。DAMUさんも予選突破していた。その次は、VGBC | aMSa さん・ShimitakeさんのWiiU予選があった。相変わらずaMSaさんの周りには観衆がついて回っている。そして、右上写真がShimitakeさんなのだが、やたらと周囲のプレイヤーのキャラが濃い。こんな予選だが、お二人とも突破した。

↑Chocoさん予選

↑配信台前

 予選最後の出番が、Chocoさんである。しかも、Chocoさんの勝者側決勝が配信台となったため、日本勢は配信台までやってきた。試合はストレートに終わった。アメリカではレアキャラのゼロスーツサムスが魅せた。これを以って、日本勢は予選が全員終了した。

 その後も私は会場をふらついた。偶然、人だかりを見つけた。行列ができている。近づいてみたらSo-tenさん・Sobameshiさん・Kounotoriさんの3名がいた。なんと今からApex2015のシャツを売り出すとのことなので、私もすかさず並んだ。名札と同様、aMSaさんのガッツポーズとなっているので、買っておきたい一品である。無事2着ゲットした。

 Apexは、人がいっぱいいて、常に配信台の試合が爆音を鳴らしているにも拘らず、こうして突発的に重要イベントが起こるので油断ならない。

↑So-tenさん,Sobameshiさん,

Kounotoriさん、

シャツを買う。

↑立ち止まる3人。

WiiUシングルス Phase2

 時刻は17時。朝6時に起きたことを考えれば、誰もが眠くなる頃である。日本勢は正直、全員が疲弊していた。しかし会場は日本勢の意に反し、ますます活気づいてきた。DXの配信台はメガホンでの会場アナウンスをかき消すレベルで観客が熱狂している。

 この5時というのは、WiiUシングルスのPhase2が開始する時刻であった。多くのプレイヤーが、ちゃんとこの時刻に受付集合したが、中々試合は始まらない。日本勢は床に座って眠る者も出始めたが、これは日本のお家芸である。他のアメリカ勢は喋りながら待っている。

↑話すOriと、

話を聴くTyrant,FOW

↑待つ日本勢

 待ち始めて90分がたった。遂にWiiUシングルスの試合が呼ばれた。周りにだらだらたむろしていたプレイヤーたちは、一気に殺気立ち、アナウンスを聞く体制になった。Phase2は、予選と同じルールである。各ブロック、勝者側優勝と敗者側優勝で突破できる。これで、ベスト128がベスト16まで絞られる。ここを生き残れば、3日目進出である。

 しかしここで呼ばれたのはあまりに無情なブロック分け。NietonoさんとChocoさんが同じブロックであった。それに加えて、Tyrant, Larry, Koolaid, 6WX が同じブロックという、地獄の様相を呈していた。日本・西海岸の旗頭が潰しあわねばならないという図には、かなり不満が沸いたが、これは予選のシード分けの時点でこう宿命付けられていた。嘆息、腸も内に熱し。しかれど、どうしても変更はきかなかった。

↑Phase2に向かう人達。

Larry,Xzax,Tyrant が見える。

↑aMSaさん。

Boss vs Nairoを見る。

 私のブロックもちょっと偏っていた。Boss, J.Miller という大物ルイージが双方入っていたのだ。偏りはそのくらいであるが。で、このブロックの目玉はNairo。そこに、敗者側で私とVGBC|aMSaさんが割り振られた形になっていた。あとは、他の日本勢はバラバラに割り振られた。

 このPhase2は、再び無理なスケジュールであるため、配信は無かった。我らの裏にある配信台では、DXのエキシビションマッチ:Salty Suite が開始された。観客が大音量で、

“Salty Suite !! Salty Suite !!”

と叫び始めた。耳のつんざけそうな肉声の塊が背中にぶつかってくる。試合の呼び出しの声が全然聞こえない。この中で、戦うという覚悟は、もう誰にでもできていた。WiiU シングルス Phase2 は、プレイヤーたちの異様な覚悟漂う空間になっていた。Apex会場にあって、この1スペースだけが、静かで、集中した人間で埋められていた。まるで受験会場のようで、黒く沈んで見えたと思う。

↑Abadango vs Will

↑DAMUさん。

 試合は始まった。私も試合があったため、自分のブロック、および近くのブロック(=Nietonoさん・Chocoさんの所)しか撮れていない。しかし上の2枚は撮った。Abadangoさんが、Xよりのドンキー使いWillと対戦している。DAMUさんの相手は分からないが、刻みの深い表情をしていた。

↑Phase2:勝者側決勝

DtN|Nietono vs Choco

↑Tyrant vs Larry

↑Tyrant vs 6WX

↑Phase2敗者側決勝

Choco vs 6WX

↑Choco vs 6WX、

増えた観衆。

そして…

 隣のブロックを見る。勝者側決勝、DtN|Nietono vs Choco は、やはり避けられなかった。ここではNietonoさんが勝ち、おそらくPhase2内最速で予選突破を決めた。

 横では敗者側で Tyrant vs Larry が行われていた。Tyrant はApex2014X部門でベスト8まで来ており、昨年はチームNMEにも入ってプロ化していた。Larryは元DEHFであり、つまりApex2010の王者である。昨年はPMでベスト6にまで来ていた。そして、共に西海岸;同郷のプレイヤーである。ベスト32ほどでぶつかるのは、あまりに無慈悲な試合であったが、勝利したのはTyrantであった。

 個々のプレイヤーに歴史があり、勝つべき理由がある。ここのブロックは、そんなゲーマーの魂をぶつけ合っていた、ように隣のテーブルから見えた。

 そしてTyrantは、6WXと激突した。Apex直前に出たプレイヤーレートではソニック使いとして最上位に来ていた6WX。私も顔はこの場で初めて見たが、Tyrant と凄く似ていた。その6WXがTyrantを下し、敗者側決勝でChocoさんと当たった。初めは、写真のように観衆のいない試合であった。当然である。ぱっぱと試合が進められているので、現場の観衆はなにが起きているかなんぞ気にもとめない。しかし、このデスブロックに気づいた人達が次第に足を止め、遂にChoco vs 6WXというカードに野次馬の群れが形成され始めた。Keitaro や Ori、昨日現れた Gandhi が見ていた。そして、

試合を制したのは、6WXであった。日本の最強候補、Chocoさんは敗れた。溜まりに溜まった観客からは、USAコールも喜びの歓声も、あがらなかった。ただこの貴重な試合を目におさめることができたプレイヤーとしての喜びを、各人が抱きしめて、静かに退いて行った。私は後ろの群れがこんな動きをする試合を、初めて見た。

↑aMSa vs NickRiddle

↑NickRiddle

撃破。

↑RichBrown。

セコンドにはBoss。

↑J.Miller戦

メモを確認するaMSaさん。

相手のセコンドがBoss。

 話は私のブロックへ移る。私は敗者側からスタート。初戦から、Pink Freshであった。実物と会ったのは初だが、動画で見たことがあったし、お手合わせすることになるとは意外であった。相手はピット、こちらはディディー。試合はあっさり終わり、私はApex2015から敗退した。試合が終わって振り返るとaMSaさんがおり、

「バレてましたね。」

と一言かけて貰った。その通りだった。技が全然通らなかった。私は、このブロックは厳しいけれど、アメリカ全一ルイージ:Bossや、ヨーロッパ全一ルイージ:J.Millerもはねのけて、Pink Fresh に通過して欲しいとも、思った。

 そして次に呼ばれたのは、VGBC | aMSa。まさかの、Boss を倒してしまった。この辺りから、このテーブルの周りで人がざわつき始めた。aMSaさんが珍キャラ:ゲッコウガ使いであるため、なおさらである。

 aMSaさんはその次、Nick Riddle と激突。ESAMの兄である。当のESAMは、なにがあったかApexに来ていない。aMSa さんと Nick Riddle はとてもエンターテイニングな二人なので、表情豊かな一枚が撮れた。上に4枚写真があるが、右上が試合前の様子である。この二人の思念の顔の後ろに、観客が一人もいないことが見て取れるであろう。しかし、左下の写真では満員になっている。aMSaさんはNick Riddleを破り、Rich Brown 戦に駒を進めた。Rich BrownはスマブラX時代、オリマーで著名であったことを覚えている方もいるだろう。aMSaさんは、このRich Brown をも倒してしまった。

 迎えた敗者側決勝。相手はJ.Millerであった。J.Millerは、ロンドンに生きるルイージ単キャラ。スマブラ4ではCyveやLeffenを破っており、ヨーロッパではMr.Rの次の実力者と言われている。ここまで来ると、流石に見物客は溢れてきた。「あのゲッコウガを操り、ここまで来たプレイヤーがいる?しかもaMSa ?!相手はJ.Miller??」それだけでニュースになった。

 そしてaMSaさんが、この敗者側決勝も制した。観衆からざわめきが起こった。そんなにラクな相手が集まったブロックという訳でもない。この集団で、3日目につないだのは、NairoとaMSaさんであった。正直VGBC | aMSa さんというプレイヤーのWiiUに於ける実力は「不明」であり、ここまでの活躍は誰にとっても予想外であった。ただでさえ波乱の一日であったというのに、明日にも波乱の予感を残す結果となった。

↑aMSa vs BOSS,

RichBrown vs Nairo

 始まりが遅延したシングルスPhase2。この進行は、あまりにあっさりと終わっていた。1時間半が経つ頃には、もう全結果が出ていた。激戦がいくつも繰り広げられたため、かなり長い時間のように感じたが、現実時間はそこまで進んでいなかった。

 この結果、勝者側:ZeRo, MVD, Mew2King, NAKAT, Mr.R, Nairo, Nietono, AeroLink。敗者側:Abadango, NinjaLink, FALSE, Dabuz, Jtails, 6WX, Ally, aMSa。が3日目に勝ち残った。

 この辺で Ally に会った。「どこで1敗したの?」と訊いたら「Vinnieのディディーにだよ。」と答えていた。3日前に私がVinnieに当たった時はシークだったのだが、いつの間にディディーになっていたというのか。Allyも、Vinnieがディディーを使えることを知らなかったらしい。ただ、Vinnieは「前からディディー好きだったんだよ」とか言っていたらしい。

帰り道

 夜。20時過ぎ。配信台の Salty Suite は相変わらず元気に試合を続けていた。御飯の屋台だが、WiiUシングルスの試合をしているうちに、閉まっていた。疲れた。私がこんなに疲れたのに、どうしてこうもアメリカ人はずっと元気なのだろう。今回の Salty Suite は、Leffen vs Chillin の$1000 マネーマッチが予定されていたことも私は知っていた。しかし、帰ろうと決意した。アメリカ人は、よくぞこの長い一日を経てもエネルギッシュでいられるものだと感心するばかりである。

 昨日の会場変更から始まった、今回のApexの強行スケジュール。WiiU はシングルス・ダブルスをなんとか終えて、第2日の幕を引くことが出来たようだ。ちなみに、予定されていたダブルス残留タスクは、明日朝に持ち越された。

 DX勢は、WiiUの裏で試合を進行しており、こちらも無事全タスクを終えていた。明日に進めたのはベスト48であるが、aMSa さんは残っていた。WiiUも併せて、なんという生命力かと思った。


 長い一日を終えて、疲弊しきった日本勢。そこでようやく気づいたのだが、帰り道をどうすればいいのだろう。外は雪が降っていた。ホテルまでは車で1時間ほど。まずは、21時くらいに、会場からホテルへ向けてのシャトルバスが来るという情報があった。しかし、所定の時間になったのに、来る気配が無い。

↑屋外。手ブレの一枚。

So-tenさん・Kounotoriさん。

フードがLOKIさん。

 これはまずいのでは?既にいつ眠りに落ちてもおかしくないほど目がうつろであったが、遮温性のない会場で寝たら凍死するため、なんとしても帰らねばならなかった。

 ひとまず大会の受付に行って「シャトルバスは?」と訊いたら、スタッフも分からなかったよう。帰り道を見失い、ここで一瞬絶望した。異国の地で、交通手段を持たず、日本勢は完全に無力だった。

 しかし、そこでカナダ;トロント勢が通り際に話を聴いて数人こちらに話しかけてくれた。

「そういうことなら、俺らも一緒にあっちのホテルに帰るわ。バスが遅れてるかもしれないから、待ち構えよう。」

と言ってくれて、わざわざ日本勢のホテル帰還に協力してくれた。しかも驚いたことに、

「お前SHIGのAyuhaでしょ?いつも動画見てるよ。ファンだったから、会えて良かった。」

とまで言ってくれて、まさに地獄に仏を体感した。体力はだいぶ尽きていたというのに、そこへ来て帰還を手伝ってもらえるとは。本当に、生きてて良かったと涙を流しそうになった。

 カナダ勢は、会場の外に出て、高速道路が見えるような場所まで歩いて行って下さり、この雪の中、暫く外を見張ってくれていた。そして時間が経つと、バスはやってきた。到着を目視してから、カナダ勢が屋内で待つ日本勢を外へ連れ出し、お陰でこちらは無事全員バスに乗ることが出来た。バスは、本当に遅れただけだった。この雪で、高速をゆっくり走らざるをえなかったのだ。

 

↑バスの中。

またブレた。

 バスが我々の前に停車した時は、愁眉を開いてこれを出迎えた。やわらかいイスに座った瞬間の喜びは計り知れない。車内のライトアップがどことなく怪しかったが、私にとってはここが天国であった。そしてカナダ勢も一緒に乗り、バスは発車した。Clarion Hotel へ1時間の旅。

 私は一瞬で眠りにつき、ホテルについてから起こされた。そのままのたどたどしい歩みで、エレベータに乗り、部屋に帰った。もうなにもせずベッドで寝た。今日は本当によく生きた。「拙者今日もオツカレ!」…磯兵衛の言葉が頭をよぎった。おやすみなさい。


 日本勢は終わる前に帰ったが、エキシビションマッチ:Salty Suite。結びの一番「$1000マネーマッチ」は、Leffenが制した。$1000を手に入れ、同時にフォックスのデフォルトカラーの使用権を得た。この戦いがいかに熱かったかは、こちらのCLANさんのブログをご覧いただきたい。

 
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